希望(ゆめ)を未来へつなぐ道 浦和美園ー岩槻地域ガイド

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浦和美園~岩槻 暮らしの日記帳

多様な働き方
~地元岩槻で人形作家×かき氷屋!?

2021.09.16

冬は人形作家、夏はかき氷屋『けずりひ 磊楽 少納言.G』で働いています!

...伝統工芸と飲食の兼業!?
優しくて穏やか、だけれど強い芯を感じる若い男性がこう語る。

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この方は、岩槻にある石川潤平工房3代目の石川泰大(いしかわやすひろ)さん。
戦前から人形作りに携わってきた祖父である初代石川潤平(いしかわじゅんぺい)さん、父である2代目石川潤平(石川公一)さんから伝統を受け継ぎ、数々の人形をその手で生み出す石川さんが、なぜそのような働き方をしているのだろうか。

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どうしてかき氷屋として働いているのか?

一番大きな理由は、新しいことに挑戦してみたい、人形以外のことも知りたいと思っているから。新しいことに一から関わる経験の中に、学びや気付きがあると思っているそう。また、「けずりひ 磊楽 少納言.G」は元々人形の美術館だった建物をリノベーションして始めたこともあり、事業運営メンバーはみな人形業界関係者だという(な、なんとも豪華!)。泰大さんの新しいことへの挑戦心に加え、知っているメンバーと一緒にやっていくということもあり、未知の世界に飛び込む怖さはなかったそうだ。

そしてもうひとつの理由は、何より楽しそうだから!お金を稼ぐという目的だけではなく、純粋に「楽しそう!」「興味ある!」「やってみたい!」と思い、決断したそう。

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左:石川さん 右:オーナーの石黒さん

また、それらの背景には「人形市場の縮小」という危機感もあるようだ。伝統を受け継ぐ人形の世界を中心に据えつつも、新しいことにも目を向ける。時代の変化に伴い、「兼業」という言葉が浮かび上がってくる。

 

人形とかき氷の共通点とは?

●1つを突き詰め、手を抜かないという一貫性とこだわり
通常、人形作りは頭や胴、小道具などを分業で仕上げていく。しかし、石川潤平工房の人形は、冠から座台までを作家がデッサンし、それを各部分の職人が同一工房内で制作する。それにより全体的な統一感が生まれ、バランスの良い人形ができるという。細部まで妥協せず突き詰め、手を抜かない、この職人魂はかき氷作りにも共通するという。

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●シンプルの中にある奥深さ
かき氷の原点は、平安時代の枕草子に記されている「削氷(けずりひ)」。冬に凍った氷を夏に削り、甘い蜜をかけて食べるのが最高の甘美だとされた。シンプルで高貴。これこそが石川さんたちの目指すかき氷だ。見た目は決して派手ではないが、純氷と自家製シロップにこだわったシンプルで奥深いかき氷。石川さんの作る人形も、見た目は派手な方ではない。しかし人形一つ一つに職人の想いが丁寧に込められている。シンプルで高貴だ。

●日本の伝統や文化の継承
代々受け継がれた人形作りの技術、地域に根付く人形文化、平安時代から続くかき氷...。日本に伝わるものを大切に、また後世に残したいという想いがある。

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兼業してみて学んだことや良かったことは?

「今まで気が付かなかったことに気が付いた!」と石川さん。
人形作りは工房に籠って作業するため、お客様と直接話す機会はあまり多くない。一方、かき氷屋は接客業。お客様と直接接し、ダイレクトに感想が伝わる環境であるため、いかにお客様に満足してもらうかという視点が、より強くなったそう。

また、「けずりひ 磊楽 少納言.G」は人形作家である自身の想いを直接お客様に伝えられる場でもあるそう。「人形の本来の役割、人形を飾る理由を伝えたい!」と語る。
人形はかつて、当たり前のことを当たり前にできる人間を育てるための教材だった。親子の日常生活において、人形を介して挨拶の習慣、物や人を大切に思う気持ち、それに相応しい行動などを身につけていった。また、毎年同じ時期に同じ人形を親子で一緒に飾ることで、子どもの成長を実感する機会でもあった。
製作技術だけでなく、生活とともにあった「人形文化」の本来の意味を後世に伝えていくことも大切なこと。そういう想いを人形に関心の薄い人に伝えることができるのは、「けずりひ 磊楽 少納言.G」で働くモチベーションのひとつになっているのだ。

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最後に...

石川さんよりメッセージです!
「もしやりたいことがあって、それを楽しいと思うのであれば、まずは一歩踏み出してみることが大切だと思います!」

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人形とかき氷。一見関連なく見えるが、そこには人形作家としての想いやこだわり、伝統を守るという価値観、シンプルな中にある奥深さと高貴さなど、たくさんの共通点があった。何より「楽しそう!」と未知の世界へ踏み出したちょっとの勇気の先に、たくさんの学びや気付きがあった。「やりたいことをやればいい」という先代の言葉の通り、伝統を守りつつ、新たな世界で挑戦する石川さんの生き方・働き方に勇気をもらった。私も、楽しく生きよう。

 

かき氷店舗情報

店名 けずりひ 磊楽 少納言.G
住所 さいたま市岩槻区浮谷2512-2
電話番号 048-797-1780
駐車場 あり(6台)
営業時間 夏季:11:00~17:00(シロップがなくなり次第終了)
冬季:土日のみ(12月~ 店舗にて節句人形販売予定)

★休業日や営業時間等、随時 Instagram(@rairaku_shounagon.g)やFacebook(@rairaku.shounagon.G)で情報更新中!

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