希望(ゆめ)を未来へつなぐ道 浦和美園ー岩槻地域ガイド

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浦和美園~岩槻 暮らしの日記帳

都市部で広がる「農」の輪!

2024.01.23

tanoshi_01.jpgたんぼや畑など、今なお田園風景が広がる見沼たんぼ。
実は最近、見沼たんぼ周辺で有機農業を始める人や、シェア畑を楽しむ人たちが増えているのだそう!この地域の新たな価値や魅力は何なのだろうか?周りにはどのような人たちがいるのだろうか?

見沼たんぼの一角で、自然をテーマに有機農業をされている「見沼たんぼのたのし農園」諸橋さんに話を伺った。



大切にしたい、守りたいこととは?

「ここの自然ってすごいんです!」
東京都心からたった20~30km圏内で、こんなにも広がる大自然。それは、なかなかないと。筆者も、見沼たんぼは一体どこからどこまでなのだ?と思うほど広大。現在は畑として利用されている土地が多いそうだが、今なおこの田園風景が残っているのはすごい。
この大自然の中にある諸橋さんの畑にも、モグラやタヌキが出没する。取材中も、「どこに住んでいるんだろうね?」「この間もそこで見たよ!近くの子だね~」と、タヌキの話が普通に飛び交っていた。繰り返しになるが、これは東京都心から20~30km圏内、大宮やさいたま新都心から2~3km圏内の日常だ。

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だからこそ、守らないと。
休耕地が増えている現実。この美しい田園風景を守るためには、休耕地をなくしたい。そして、美しく残すためには人手が必要。人が集まれるような環境、そして若い人たちが自然や農業に興味を持つきっかけがあれば、と諸橋さんは言う。就農する以前から諸橋さんが所属しているという「NPO法人 里山クラブ見沼」など、子どもも気軽に集まれるような団体や活動も多い。実際、この地域では有機農業に興味のある若い人たちや、シェア畑に通う人たちが増え、県外から通う人も少なくないという。
「見沼たんぼのたのし農園」という名前も、できるだけ多くの人たちが来てくれるように、との想いからつけたそうだ。

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自然に逆らわず、自然に寄り添った農業

諸橋さんが最も大切にしていることは、自然に逆らわないこと。
その土地の気候や風土に合った野菜を栽培。農業に対しても、自分に対しても、無理をしない。気が乗らない時は、畑に行かない。好きなものが嫌いにならないように、気合を入れすぎない。

自然に寄り添う農業。諸橋さんの農業は、無理なく無駄なく、とても丁寧だ。

まず、「マルチ」を極力使わないようにしている。「マルチ」は畝(うね)の表面を覆い、雑草を抑制したり地中の温度を保ったりするために使われる。畑でよく見る黒いビニールシートのことだ。一般的によく使用されているが、ビニールは結局ゴミになってしまう。そこで諸橋さんは、枯れた草やワラを、マルチの代わりに使用しているのだとか!

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また、2022年から始めた不耕起栽培。農地を耕さずに作物を栽培する、という栽培方法で、農作業の省エネルギー化や燃料削減、脱酸素などが期待できると注目されている。それだけでなく、より良い土壌環境が整う、とも。農業に無知な筆者はなんとも驚き!
収穫時期を終えて枯れた作物の根は刈り取らずにそのまま地中に残し、そこにまた新たな作物を植える。枯れた草やワラもまた、そのまま利用する。これらの有機物が微生物などによって分解されたり、地中に残った根により土壌内の保水性が高まったりと、植物が生育しやすい土壌環境になるのだとか。

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「きれいに整備された土壌」の方が植物は育ちやすいのでは?と思ってしまうが、ある程度のストレスを与えたほうが根張りの強い野菜になるという。それは農薬も同じで、無農薬を続ければ、自らを守るために強い野菜となり、虫もあまり寄せつけなくなる。
「そうなんだ!」と、驚きの連続だ。


周りにはこんな人達が!

tanoshi_06.jpg自然に寄り添う諸橋さんの考え方に惹かれ、畑の手伝いをしてくれる人が集まる。毎日のように畑に手伝いに来ているという「vege.三姉妹」さん。もともと自宅近くで家庭菜園をやっており、無農薬で栽培しようとするも苦戦。無農薬なのにきれいな野菜が育つ諸橋さんの畑を見るたびに、「いつか教えてもらいたい!」と3人で話していたそう。今では子どもと一緒に諸橋さんの畑を手伝いながら、その近くの畑を借りて家庭菜園をしている。

<写真:諸橋さん(中央左)と、vege.三姉妹さん>

また、メンバー全員が有機栽培をしている「さいたま有機都市計画」。さいたま市の就農研修の卒業生からなる「さいたまCityふぁーまーず」。諸橋さんは両方に所属しており、現在は「さいたまCityふぁーまーず」の代表も務めている。それぞれ情報交換をしたり、マルシェを運営したり、「みんなでやろうよ!」と盛り上がっている。20~30代の若い世代が主力となり、さいたま市の農業の新たな価値を作っている。

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「農」を通して伝えたいこと

「小さいころから土に触れ、自然に興味を持ってくれる人が増えれば」と話す。
自然に触れる楽しさ、時に自分の思い通りにはならない自然の厳しさに触れ、物を大切にするということが身につく。見た目や形ではなく、本当の価値や「おいしさ」を感じ取ってくれたら嬉しい。そうしてSDGs等への興味につながれば、とも語っていた。


最後に...

都心から近くして、こんなにも日常に自然があることに驚いた。この辺りでは、皆が当たり前に「自然と共生」している。休耕地を利用して新たに農業をする人が増えているように、都市型農業の可能性も感じた。「vege.三姉妹」さんも今ではマルシェに出店するなど、家庭の食卓から社会へと、活動の場が広がってきている。
自然に逆らわず、自然体で農業を愉しむ。そんな人たちが集まる、「見沼たんぼのたのし農園」をはじめとするこの地域。子どもと遊びに行ったら楽しいだろうな~、と思った。


詳細情報

●見沼たんぼのたのし農園
HP:https://peraichi.com/landing_pages/view/tanoshinoen
Instagram:https://www.instagram.com/tanoshi_noen/

●vege.三姉妹
Instagram:https://www.instagram.com/vege_3shimai/

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